今回は、下記の特許を解説します。
特許7017014号(令和4年1月31日)
発明の名称「シャツ」
出願人「株式会社オギタヘムト 」
*詳細を知りたい人は該当の特許番号から直接お調べください。

- 出願人(会社)について
「株式会社オギタヘムト 」 - どんな発明をしたのか
「メタボ体型の人が着用しても腹部が開くことがなく、また、女性のブラウスに適用した場合には下着が見えにくくなり、かつ、生地の重複する部分をなくして、腹部のシルエットを綺麗に維持することができるシャツ」 - どうやって発明したか
「発明のシャツは、左右の前身頃(シャツのボタン止めの生地)の一方にスリット長に亘る長さの下前立て(シャツ前の右手生地)を縫着するとともに、上前立て(シャツの左手生地)を縫着しした。」
オギタヘムトは衣類品の製造販売を行う会社です。設立は昭和34年ですので老舗メーカーです。非上場であるものの、売り上げは16億円となっており中小企業です。本社は香川県にあります。オンラインショッピングも運営しております。本記事で紹介するシャツもこちらのショップから購入できます。
「メタボ体型の人が着用しても腹部が開くことがなく、また、女性のブラウスに適用した場合には下着が見えにくくなり、かつ、生地の重複する部分をなくして、腹部のシルエットを綺麗に維持することができるシャツ」

従来、シャツには、大別して、布帛を縫製して構成したワイシャツやブラウスに代表されるビジネス、フォーマル、カジュアル等の用途に用いられる、着丈方向の全長に亘る長さの前立てを備えたシャツと、ニット生地を縫製した構成したポロシャツ、ラガーシャツに代表されるカジュアル、スポーツ等の用途に用いられるニットシャツとの2種類があります。
このうち、前者のシャツは、ニットシャツに比べて、フォーマルさを演出できる利点がある反面、伸縮性に乏しいため、メタボ体型の人が着用すると、釦で留められた間の上前立て及び下前立てが引っ張られて歪みが生じ、上前立てと下前立てとの重なり合い部分がなくなり、腹部が開いてしまうことによって隙間から下着や肌が見えるという問題がありました。
この問題点に対処するために、腹部に相当する位置における下前立ての幅を、それより上部の位置における下前立ての幅より広く形成した衣服が提案されています。
しかし、従来の衣服は、メタボ体型の人が着用しても、腹部が開いてしまうことによって隙間から下着や肌が見えるという問題を解消できる反面、生地の重複する部分によって、腹部のシルエットが損なわれるという問題があった。
そこで上記従来のシャツの有する問題点に鑑み、フォーマルさを演出できる、着丈方向の全長に亘る長さの前立てを備えたシャツの利点を享有しながら、メタボ体型の人が着用しても腹部が開くことがなく、かつ、生地の重複する部分をなくして、腹部のシルエットを綺麗に維持できるシャツを発明するに至りました。
「発明のシャツは、左右の前身頃(シャツのボタン止めの生地)の一方にスリット長に亘る長さの下前立て(シャツ前の右手生地)を縫着するとともに、上前立て(シャツの左手生地)を縫着しした。」

本発明のシャツは、左右の前身頃を1枚の布地で構成され、該布地の身幅方向の中心に、上端から胸部に至るスリットが形成されました。
また、左右の前身頃の一方にスリット長に亘る長さの下前立てを縫着されるとともに、他方に布地の着丈方向の全長に亘る長さの上前立てを縫着してなるようにすることにより、フォーマルさを演出できるようになります。
着丈方向の全長に亘る長さの前立てを備えたシャツの利点を享有しながら、メタボ体型の人が着用しても腹部が開くことがなくなります。
また、女性のブラウスに適用した場合には下着が見えにくくなり、かつ、生地の重複する部分をなくして、腹部のシルエットを綺麗に維持することができるようになります。
また、このシャツは、ポロシャツのようなプルオーバータイプのシャツであるため、掛けたり外したりする釦の数が少なくなり、シャツの着脱性を向上することができ、さらに、小児用のシャツに適用した場合には、まだ釦を上手く留めることができない子供でも着やすく、動き回っても肌が露出することを防止することができます。
オギタヘムトは、シャツのボタンの隙間から下着を見えなくし、シルエットも綺麗に見せるシャツを発明しました。
普通のシャツは、前ボタンを全て止めてネクタイを巻く着方が一般的です。近年では、ネクタイがなくとも第一ボタンだけを外して着るクールビズが流行っています。より一層シャツを気軽に着れる環境になってきました。一方でお腹周りをうまく隠せることがシャツのメリットでもあります。Tシャツなどは体に沿って着るためボディラインが見えやすく、太っていることがわかりやすくなってしまいます。しかし、ひとまわり小さいサイズのシャツを着てしまうとボタンの部分で歪みが発生(横シワ)してしまい、その隙間から下着が見えてしまったり、太っている様なイメージを他人に抱かせてしまいます。従来のシャツは、下着を見せないような工夫をおこなっていましたが、シルエットに関しては対策を施していませんでした。
そんな状況を知ったオギタヘムトは、最初からボタンで止めるのではなく縫い付けてし合うという発想をし、今回の製品を発明するに至りました。見た目はシャツですが、中身はポロシャツのような感覚です。メタボの方でも横シワが発生しにくく、動きやすくもあるので作業性も高くなっています。少しお腹周りが気になってきた人は、一度試してみると良いと思います。
この発明品は既に、「スキマカットシャツ」として発売しています。オギタヘムトの直販サイトから購入できるようですので下記リンク先をご参照ください。