こんにちは!ぱかぞーです!
今回は株式会社 伊藤園の にごり紅茶飲料 に関する特許情報を紹介します!
*本記事では難解な特許を分かりやすく解説していきます。
特許6841954から文章を引用させて頂いています。
詳細を知りたい人は該当の特許番号から直接お調べください。


- 出願人(会社)について
「株式会社 伊藤園」 - どんな発明をしたのか
「フルーツを使って特定の食物繊維と有機酸とリンゴ酸となるように調整した濁り紅茶飲料」を発明した。
この発明は「TEAs’TEAシリーズ」として販売されています。
*下欄外から参照ください - どんな利益が期待できるのか
「ペットボトルであってもジューススタンドなどで提供サレルフルーツティーを飲むことが出来るようになります。」 - 従来の製品はどんなものだったのか
従来の製品は「加熱殺菌を経てからペットボトルに詰められているので搾りたてのものと同じ味を再現できなかったのです。」 - 市場性
「ジューススタンドなどの搾りたて飲料は美味しさだけではなく、雰囲気や搾りたての新鮮さを感じさせることが出来ます。どんなに味や風味を近づけてもペットボトル飲料では雰囲気や搾りたてを感じさせることができません。しかし、単に味や風味が良くなるだけでも十分に売れる可能性は高いと思います。」 - まとめ
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【氏名又は名称】株式会社 伊藤園

伊藤園は大手飲料メーカー です。
伊藤園は「おーい、お茶」など有名な商品を取り扱っています。
茶葉製品と緑茶飲料では最大手です。
私も知りませんでしたが、傘下にタリーズコーヒーがあるそうです。
伊藤園は1966年に設立されたフロンティア製茶株式会社から歴史が始まっています。
最初に手掛けたのは緑茶の製造でした。
1980年になると、有名な缶入りウーロン茶を販売します。
伊藤園は「お客様第一主義」を経営理念に掲げています。
お客様は消費者だけではなく、ステークホルダー全体を示しています。
決算情報 | 2020年度 | 2019年度 |
---|---|---|
売上高 | 4462 億円 | 4833億円 |
営業利益 | 166 億円 | 199 億円 |
経常利益 | 170 億円 | 194 億円 |
純利益 | 70 億円 | 77 億円 |
売上高が4000億円を超えています。
伊藤園は日本を代表する巨大企業です。
営業利益率は約4%です。
大手企業の中では低めですが、食品業界であれば経済的に優良企業と言えます。
経常利益は営業利益と殆ど同じ金額になっています。
伊藤園は本業の飲料で最も稼いでいる安定した企業です。
純利益は2019年度と比べて減少していますが、設備投資をしている可能性もあります。
黒字であることが重要なので、伊藤園は財務的に問題のない会社と言えます。
【請求項1】
紅茶液成分と、加熱されていないりんごを抽出して得られる成分、加熱されていないモモを抽出して得られる成分又は加熱されていないブドウを抽出して得られる成分と、生青果又は冷凍果実としてのりんご、モモ又はブドウの粉砕物、生青果又は冷凍果実としてのりんご、モモ又はブドウを搾汁して得られた果汁、及び、前記粉砕物の濃縮物のうちから選択される1種以上(「非加熱果実由来成分」と称する)とを含有する容器詰にごり紅茶飲料であって、
前記非加熱果実由来成分に由来する不溶性食物繊維量が3.0~30.0mg/100mLであり、
有機酸含有量が5.0~50.0mg/100mLであり、且つ、
有機酸量に対するリンゴ酸量の比率(リンゴ酸/有機酸)が0.6~1.0であることを特徴とする、容器詰にごり紅茶飲料。

伊藤園 が発明したのは「 紅茶 」です。
上記の文章のままだと分かり難いので、文章を区切ってそれぞれを解釈をしていきます。
構成 | 請求項1 | 解釈 |
---|---|---|
A | 紅茶液成分と、加熱されていないりんごを抽出して得られる成分、加熱されていないモモを抽出して得られる成分又は加熱されていないブドウを抽出して得られる成分と、 | ①茶葉から抽出され他成分 ②桃かブドウ由来の成分 |
B | 生青果又は冷凍果実としてのりんご、モモ又はブドウの粉砕物、 | ③リンゴかモモかブドウの青果または冷凍品を細かくしたもの |
C | 生青果又は冷凍果実としてのりんご、モモ又はブドウを搾汁して得られた果汁、 | ④ リンゴかモモかブドウの青果または冷凍品の果汁 |
D | 及び、前記粉砕物の濃縮物 | ⑤③の濃縮物 |
E | のうちから選択される1種以上(「非加熱果実由来成分」と称する)とを含有する容器詰にごり紅茶飲料であって、前記非加熱果実由来成分に由来する不溶性食物繊維量が3.0~30.0mg/100mLであり、 有機酸含有量が5.0~50.0mg/100mLであり、且つ、 有機酸量に対するリンゴ酸量の比率(リンゴ酸/有機酸)が0.6~1.0であることを特徴とする、 | ①~⑤の中で最低でも一つ以上の混合成分が、特定の食物繊維と有機酸とリンゴ酸である |
F | 容器詰にごり紅茶飲料。 | ペットボトルなど容器に詰められた紅茶飲料 |
請求項1を構成分けすると、A~Fの6つの構成から成り立つ文章であることがわかります。
構成A~Dは何れかの手法で得られる果肉が紅茶に含まれていることを説明しています。
この部分はフルーツ紅茶であることの説明をしています。
構成Eでは紅茶に含まれるフルーツ成分の説明をしています。
結果的であれ、意図的であれ、特定量の食物繊維量、特定量の有機酸、特定量のリンゴ酸である紅茶であることを説明しています。
この部分が恐らく主要な構成であり、発明の本質の部分です。
構成Fは、ペットボトルや缶詰のような容器に詰められている紅茶であることを説明しています。
にごりという表現は構成A~Dのフルーツ成分のことを指しています。
では、この発明品は我々にどんな恩恵を与えてくれるのでしょうか。
【発明の効果】
【0016】
本発明により、果実の風味の強さ、フレッシュ感の強さ、酸味のバランスが、従来の容器詰紅茶飲料(RTD)と比較して高評価が得られる容器詰にごり紅茶飲料(RTD)を提供することができる。よって、容器詰紅茶飲料(RTD)でありながらも、ジューススタンドなどで提供されるフルーツティーらしさが感じられる、これまでにない容器詰にごり紅茶飲料(RTD)を提供することができる。

この発明品によって、我々は、「ペットボトルであってもジューススタンドなどで提供されるフルーツティーを飲むことが出来るようになります。」
ペットボトル飲料は持ち運びがしやすくどこでも飲めるのが最大の利点です。
しかし、屋台やジューススタンドで飲めるジュースは搾りたてである為、ペットボトルよりも美味しいものが多いです。
もし、ペットボトルでも屋台やジューススタンド並みに美味しいジュースが出来たら売れると誰でも思うでしょう。
恐らく競合他社においても同様な研究開発を進めていたと思いますが、いち早く伊藤園は発明を完成させていたのです。
【0004】
しかしながら、このような飲み方、すなわち輪切りしたフルーツを紅茶に浮かべたような風合いのフルーツティーを工業的に提供する飲料、すなわち容器詰紅茶飲料(RTD)として再現することは技術的に極めて困難であった。
その理由は幾つかあり、その一つとして、工業製品としての容器詰紅茶飲料(RTD)は、一定程度の長期に亘っての保存を前提とするため加熱殺菌処理が法律上要請されるが、このような加熱殺菌処理をすると、加熱劣化や経時劣化を生じるため、一般家庭や店舗(ジューススタンド)で提供するものと似ても似つかぬものとなってしまうことを挙げることができる。
【0005】
このような問題を解決するために、工業的に容器詰紅茶飲料(RTD)を提供する企業は、香料等の副素材を用いるなどして、法律上要請される加熱殺菌処理をしながらも、一般家庭や店舗(ジューススタンド)で提供するものに近しいものを提供しようと試みてきた。これにより、加熱殺菌処理による品質の変化は一定程度の制御が可能になったものの、一般家庭等では決して使用しない香料等の副素材を使用すること等により、一般家庭等で提供するものとは依然として似ても似つかぬもののままであった。

従来のフルーツ紅茶では、殺菌を行うために加熱工程を経てからペットボトルに詰められているので搾りたてのものと同じ味を再現できなかったのです。
ペットボトル飲料は携帯性に優れているだけではなく、長期間の保存性にも優れています。
これは、ペットボトルに入れる前に加熱殺菌を行っているからです。
ペットボトルは工場から出荷されて私たちの手に届くまでに数日以上の時間がかかります。
また、温度管理されていない倉庫で保存されるため真夏は40度近くまで温まってしまう可能性があります。
そのような環境においても美味しさや安全性を企業側は担保しないといけないですから、加熱殺菌工程が不可欠なのです。(法律で定められています)
つまり、ペットボトル飲料である限り、加熱殺菌工程を行わないといけません。そうすると新鮮さが失われ、ジューススタンドとは異なる味になってしまうのです。
この課題に対して多くの企業が挑戦してきました。
本物のフルーツではなく加熱殺菌に強いフルーツ風の香料を用いたりしていました。
しかし、それでは十分な解決策ではありませんでした。
そんな中、伊藤園は香料などの添加物を使わずに、本物のフルーツを使って食物繊維、有機酸、リンゴ酸を調整することで加熱殺菌工程を経ても美味しさが失われない発明をしたのです。
「この発明は世の中に受け入れられるでしょう。」
本発明以外にも年々美味しい飲み物が沢山生まれます。
本発明の濁りのある紅茶もその一部でしょう。
しかし、濁りは美味しさを感じるものでもありますが、苦みや舌触りが悪い印象を与えてしまいます。
緑茶において茶葉が残ってしまうと苦みを感じてしまいます。
恐らく、同じ容器で通常のペットボトル飲料と搾りたてのジュースを飲み比べても、濁りが無い方がすっきりとした飲みやすいと感じるでしょう。
それだけ、ペットボトル飲料の味は良くなっています。
では、なぜ搾りたてを「美味しい」と私たちは感じるのでしょうか。
それは「搾りたて」であることを知っており、搾りたて=新鮮=美味しいという刷り込みがあるからです。
また、搾りたてを販売するお店は歓楽街や遊園地など楽しい雰囲気のある場所にあります。
従って、雰囲気と刷り込みで搾りたて飲料が美味しいと感じているのです。
今回の発明はペットボトル飲料です。
ペットボトルを買う人の多くは、持ち運びして学校や職場で飲むことが多いと思います。
雰囲気や新鮮さをあまり重視しない人が多いのです。
つまり、ペットボトルの需要に対して、濁りを求める人は少ないのです。
しかし、一部の人には需要があると思いますから、売れないというわけではありません。
◆伊藤園は「フルーツを使って特定の食物繊維と有機酸とリンゴ酸となるように調整した濁り紅茶飲料」を発明した。
◆発明されたものによってユーザーは、「 ペットボトルであってもジューススタンドなどで提供されるフルーツティーを飲むことが出来るようになります。 」
◆この発明は「TEAs’TEAシリーズ」として販売されています。
![]() | 伊藤園 TEAs’TEA NEW AUTHENTIC 生アップルティー 500ml×24 送料無料 全国配送 ケース販売 まとめ買い あす楽 箱 価格:2,903円 |

◆従来の製品は 殺菌を行うために加熱工程を経てからペットボトルに詰められているので搾りたてのものと同じ味を再現できなかったのです。
◆ この発明品は爆発的には売れないものの、一部のユーザーに喜ばれるでしょう。ジューススタンドなどの搾りたて飲料は美味しさだけではなく、雰囲気や搾りたての新鮮を感じさせることが出来ます。どんなに味や風味を近づけてもペットボトル飲料では雰囲気や搾りたてを感じさせることができません。しかし、単に味や風味が良くなるだけでも十分売れる可能性は高いと思います。