こんにちは!ぱかぞーです!
今回は資生堂の花粉付着防止剤 に関する特許情報を紹介します!
*本記事では特許4562585を引用しています。
詳細を知りたい人は該当の特許番号から直接お調べください。


- 花粉症の人
- マスクやメガネでは花粉を防げない人
- 資生堂の製品研究開発動向を分析したい人
- 出願人(会社)について
「資生堂」 - どんな発明をしたのか
「特殊な樹脂による花粉付着防止剤」
この発明は「IHADAシリーズ」として販売されています。
下欄外のリンクから参照ください。 - どんな利益が期待できるのか
「衣服や毛髪に発明品をスプレーすることで花粉の吸着を防ぐことができます。」 - 従来の製品はどんなものだったのか
「洗濯機の洗剤や柔軟剤で洗うことで花粉が着いてもアレルギー反応を抑制していたのです。」 - 市場性
「この発明によって、花粉が酷くなればなるほど大きな売り上げを残すでしょう。」 - まとめ
![]() | 価格:1,271円 |

【氏名又は名称】株式会社 資生堂

資生堂は大手化粧品メーカーです。
資生堂は化粧品ではマキアージュ、日焼け止めではアネッサなど有名なブランドを持っています。
国内では化粧品の大手に位置しています。
中国を第2の本社と位置づけ、積極的に展開しています。
最近では高価格帯スキンケアの強化に注力しています。
資生堂は1872年に創業を開始しています。
そして1888年に日本初の歯磨石鹸を発売しています。
資生堂は「THE SHISEIDO PHILOSOPHY」を経営理念に掲げています。
資生堂は100年先も輝きつづけ、世界中の多様な人たちから信頼される企業、国・地域・組織・ブランドを問わず、世界で勝てる日本発のグローバルビューティーカンパニーを目指しています。
決算情報 | 2020年度 | 2019年度 |
---|---|---|
売上高 | 9209 億円 | 1兆1315 億円 |
営業利益 | 150 億円 | 1138 億円 |
経常利益 | 96 億円 | 1087 億円 |
純利益 | −117 億円 | 736 億円 |
売上高は1兆円に迫っています。
売り上げの大きさから資生堂は日本を代表する巨大企業です。
営業利益率は約2%です。
かなり利益率が低いことがわかります。
2019年と比較と売り上げが2000万円近く落ちているので、その分利益が低くなっています。
売り上げと利益率が完全に比例しないのは売り上げが落ちても固定費が変わらないからです。
固定費は設備や人件費など、必ず発生するコストのことです。
経常利益は営業利益よりも50億も低くなっています。
本業以外で大きな損失が出ています。
日本を代表する企業であるため簡単には潰れることはありませんが、とても心配な状況です。
純利益率は赤字となっています。
7年ぶりの赤字という結果です。
コロナ禍によって、女性の外出機会が減り、化粧を利用する頻度が下がってしまったことが原因と考えられます。
今後、経済の再開によって売り上げが大きくなると予想されます。
そして、リバウンド需要によって短期的には大きな売り上げを記録するでしょう。
しかし、長期的に見るとコロナ禍以前のように外出する機会は確実に減るでしょう。
その為、2019年度のような大きな売り上げを残すことは難しいでしょう。
【請求項1】
2−(メタ)アクリロイロキシアルキルホスホリルコリン、N−(メタ)アクリロイロキシアルキルN,N−ジアルキルアンモニウム−α−N−(アルキル)カルボキシベタイン、N−ホスホリルコリン−N’−アルキレンジオキシ−ビス−アルキルアクリルアミド、N,N−ジアルキルアンモニウム−α—N−アルキルスルホベタイン(メタ)アクリル酸の中から選ばれる1種または2種以上からなる両性イオン基を有するモノマーユニット、および/または、(メタ)アクリル酸またはその塩、2−(アクリルアミド)−2−アルキルプロパンスルホン酸またはその塩、2−(メタ)アクリロイロキシアルキレンオキシドリン酸またはその塩の中から選ばれる1種または2種以上からなるアニオン基を有するモノマーユニット(ただし上記各モノマーユニットにおいて、アルキルは炭素原子数1〜6の低級アルキルを示し、アルキレンは炭素原子数1〜6の低級アルキレンを示す。)、を構成単位として含むポリマーを含有する、花粉吸着防止剤。

資生堂が発明したのは「花粉吸着防止剤」です。
上記の文章のままだと分かり難いので、文章を区切ってそれぞれを解釈をしていきます。
構成 | 請求項1 | 解釈 |
---|---|---|
A | 2−(メタ)アクリロイロキシアルキルホスホリルコリン、N−(メタ)アクリロイロキシアルキルN,N−ジアルキルアンモニウム−α−N−(アルキル)カルボキシベタイン、N−ホスホリルコリン−N’−アルキレンジオキシ−ビス−アルキルアクリルアミド、N,N−ジアルキルアンモニウム−α—N−アルキルスルホベタイン(メタ)アクリル酸の中から選ばれる1種または2種以上からなる両性イオン基を有するモノマーユニット、 | 特殊な両性イオン基を有する部分と |
B | および/または、(メタ)アクリル酸またはその塩、2−(アクリルアミド)−2−アルキルプロパンスルホン酸またはその塩、2−(メタ)アクリロイロキシアルキレンオキシドリン酸またはその塩の中から選ばれる1種または2種以上からなるアニオン基を有するモノマーユニット(ただし上記各モノマーユニットにおいて、アルキルは炭素原子数1〜6の低級アルキルを示し、アルキレンは炭素原子数1〜6の低級アルキレンを示す。)、 | 特殊なアニオン基を有する部分 |
C | を構成単位として含むポリマーを含有する、花粉吸着防止剤。 | 構成ABからなるポリマー |
請求項1を構成分けすると、A~Cの3つの構成から成り立つ文章であることがわかります。
構成Aは発明品に特殊な両性イオン基モノマーからなる樹脂が含まれていることを説明しています。
構成Aには多くの特殊な両性イオン基が記載されていますが、難しいので割愛します。
大事なのは両性イオンであることです。
両性イオンは様々な物質に対して反応しにくい性質なので、花粉やほこりを吸着しにくい性質を持っています。
本発明品の骨格の部分となっています。
構成Bは発明品に特殊なアニオン基モノマーからなる樹脂が含まれていることを説明しています。
構成Bには多くの特殊なアニオン基が記載されていますが、難しいので割愛します。
大事なのはアニオン性イオンであることです。
アニオン性イオンはカチオン性イオンと反応して吸着するため衣服や肌に吸着しやすいのです。
従って、磁石の+ーのように発明品のアニオン基部分で衣服や肌に吸着し、アニオン基部分で花粉やほこりを弾いているのです。
では、この発明品は我々にどんな恩恵を与えてくれるのでしょうか。
【発明の効果】
【0017】
本発明により、毛髪や衣類等に塗布・噴霧することによって、これら毛髪や衣類等への花粉の吸着を簡便にかつ積極的に防止する花粉吸着防止剤が提供される。

この発明品によって、我々は、
「衣服や毛髪に発明品をスプレーすることで花粉の吸着を防ぐことができます。」
花粉アレルギーを持つ人は毎年、春と秋に辛い思いをします。
年々、花粉の量が増しているため、今後多くの人が花粉症になる可能性があります。
花粉の対策としては、アレルギー発症部分を直接保護できるマスクとメガネの着用が効果的です。
しかし、毛髪や衣服にも多くの花粉が付いています。
毛髪や衣服は玄関前で叩いて落とすしか対策が取れません。
そして、叩くと花粉が舞い上がってしまうため本末転倒になってしまいます。
その課題を解決したのが本発明品です。
外出前に衣服、毛髪にスプレーしておけば花粉の吸着を防いでくれるので、玄関前で叩く必要がありません。
【0004】
なお、特開2004−068174号公報(特許文献2)に、特定範囲の分子量および表面張力を示す、ホスホリルコリン類似基含有重合体またはポリアルキレングリコール誘導体の重合体を含有する繊維刺激抑制剤が記載されている。
〜省略〜
そして、上記重合体を含む繊維刺激抑制剤で繊維を処理することにより、洗濯後に残留した洗剤や柔軟剤による皮膚刺激や、花粉やダニ等に由来するアレルゲン物質によるアレルギー反応を低減すること、したがって該文献の繊維刺激抑制剤により処理した繊維は、特に肌着、下着、Yシャツ、靴下、ストッキング等のヒトの皮膚に直接接触しやすい部位に使用される繊維として利用することが効果的であるということ、等が記載されている(段落番号[0047])。

従来の製品は、「洗濯機の洗剤や柔軟剤で洗うことで花粉が着いてもアレルギー反応を抑制していたのです。」
従来の花粉対策はマスクやメガネに加えて洗剤が付着した衣服によって対策を行なっていました。
しかし、洗剤による花粉対策は洗濯機で洗う必要がありました。
その為、肌着に対しては効果的に洗剤が付着するものの、外着など洗濯で洗えないものに対しては利用できませんでした。
花粉が流行するのは春と秋です。
少し肌寒さを感じる時期ですので多くの人はコートを着ていることが多い時期なのです。
従って、従来のように洗濯できないコートを着る時期では花粉を効果的に防ぐことができなかったのです。
「この発明によって、花粉が酷くなればなるほど大きな売り上げを残すでしょう。」
近年、日本人の約10人に1人、都会では5人に1人が花粉症にかかっているといわれています。
いまや花粉症は国民病とまでいわれるほど患者がふえています。
そのため、花粉症治療剤等が数多く販売されているが、これといって画期的な効力を発揮するものはありません。
そのような市場の中で、簡単に花粉を防ぐことができる本発明品は大きな利益を残すことができるでしょう。