こんにちは!ぱかぞーです!
今回はサントリーホールディングス株式会社の 鉄含有飲料 に関する特許情報を紹介します!
*本記事では難解な特許を分かりやすく解説していきます。
詳細を知りたい人は該当の特許番号から直接お調べください。


- 出願人(会社)について
「サントリー株式会社」 - どんな発明をしたのか
「ナトリウムと鉄とたんぱく質を含んだ飲料」を発明した。
この発明は「グリーンダカラ」として販売されています。
*下欄外から参照ください - どんな利益が期待できるのか
「美味しく塩分と水分を飲むことができ、熱中症を防ぐことが出来る」
カゴメのHPでは深みのある料理を作れるようになるとも書いてあります。 - 従来の製品はどんなものだったのか
従来の製品は「ナトリウム濃度を高くすると塩味が強く美味しくなかった。」 - 市場性
「毎年夏になると熱中症が騒がれます。そんな環境で本発明品の水分と塩分を効率的に吸収できる美味しい飲み物があれば確実に売り上げは伸びるでしょう。」 - まとめ
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特許6807477より引用
【氏名又は名称】サントリーホールディングス株式会社

サントリーは大手飲料メーカー です。
コーヒーの「BOSS」、ジュースの「なっちゃん」、お茶の「伊右衛門」、炭酸飲料の「ペプシ」など有名な商品を取り扱っています。
飲料業界では第2位ではありますが、国内最大手の一つです。
国内だけではなく、最近は欧州、東南ア、オセアニア中心に海外展開積極的しているようです。
サントリーは創業が1899年です。
最初に手掛けたのはぶどう酒の製造販売でした。
日本人の味覚に合った洋酒をつくり、日本の洋酒文化を切り拓きたいという思いで創業しました。
そして1937年には有名な「サントリーウイスキー角瓶」を販売しました。
現在はお酒だけではなく飲料全体を手掛けております。
決算情報 | 2020年度 | 2019年度 |
---|---|---|
売上高 | 1兆1781 億円 | 1兆2993 億円 |
営業利益 | 961 億円 | 1139 億円 |
経常利益 | 941億円 | 1121 億円 |
純利益 | 522 億円 | 688 億円 |
売上高が1兆円を超えています。
サントリーは日本を代表する超巨大企業です。
営業利益率は約8%です。
大手企業の中では少し低めですが、食品業界であれば十分に経済的に優良企業と言えます。
経常利益は営業利益と殆ど同じ金額になっています。
サントリーは本業の飲料で最も稼いでいる安定した企業です。
純利益は2019年度と比べて減少していますが、設備投資をしている可能性もあります。
黒字であることが重要なので、サントリーは財務的に問題のない会社と言えます。
特許6807477 より引用
【請求項1】
ナトリウム及び鉄を含む飲料(ただし、鉄が含糖錯体鉄である場合を除く)であって、
(a)ナトリウムの含有量が40~120mg/100mlであり、
(b)鉄の含有量が0.4~2mg/100mlであり、
(c)タンパク質濃度が2%未満であり、
(d)鉄が3価鉄である、
上記飲料。

サントリー が発明したのは「 飲料 」です。
上記の文章のままだと分かり難いので、文章を区切ってそれぞれを解釈をしていきます。
構成 | 請求項1 | 解釈 |
---|---|---|
A | ナトリウム及び鉄を含む飲料(ただし、鉄が含糖錯体鉄である場合を除く)であって、 | ナトリウムと鉄分を含む飲料である。 |
B | (a)ナトリウムの含有量が40~120mg/100mlであり、 | 特定のナトリウム量である。 |
C | (b)鉄の含有量が0.4~2mg/100mlであり、 | 特定の鉄分量である。 |
D | (c)タンパク質濃度が2%未満であり、 | たんぱく質が少ない。 |
E | (d)鉄が3価鉄である、上記飲料。 | 鉄の種類が3価である |
請求項1を構成分けすると、A~Eの5つの構成から成り立つ文章であることがわかります。
構成Aは前提条件としてナトリウムと鉄分が含まれている飲料であることを説明しています。
この部分は従来の飲料にもあるものですから特別なことではありません。
構成Bは含まれているナトリウムの量を指定しています。
記載の範囲ではないと発明の効果を発揮しないことを暗に説明しています。
この記載のナトリウム範囲であっても従来の飲料にもあるものですので特別なことではありません。
構成CとEは含まれている鉄分の説明をしています。
鉄分の種類は3価鉄であり、その量が特定量になっています。
この記載だけでは従来の飲料にもあるものですので特別なことではありません。
構成Dは飲料にたんぱく質が含まれていることを説明しています。
普通の飲料ではたんぱく質を含んでいるものは少なくなります。
しかし、プロテイン飲料など、たんぱく質を含む飲料自体が存在します。
従ってこの記載でも特別なことではありません。
全構成A~Eを説明してきましたが、いづれの構成においても従来に無い新しいことが書かれていませんでした。
このような発明はどうして特許として認められたのでしょうか。
それは、構成の組み合わせが特別だったのです。
一つの構成が新しくなくとも、いろいろな構成を組み合わせることで新しいものを作り出したのです。
もちろん、単なる寄せ集めでは特許として認められません。
ですので、今まで考えられなかった組み合わせがこの発明にはあったのです。
詳細はわかりませんが、おそらく、ナトリウムとたんぱく質と鉄分の構成を組み合わせることが新しかったのではないでしょうか。
では、この発明品は我々にどんな恩恵を与えてくれるのでしょうか。
特許6807477 より引用
【発明の効果】
【0008】
本発明によって、ナトリウムを35mg/100ml以上含む飲料において、ナトリウムに由来する塩味を改善することが可能となる。本発明によれば、高濃度のナトリウムが含まれているにもかかわらず、ナトリウム由来の塩味が軽減され、飲みやすい飲料を提供することができる。

この発明品によって、サントリーは高濃度のナトリウム飲料であっても塩味を軽減させることができます。
そして我々にとっては、「美味しい熱中症対策飲料を飲むことが出来るようになります。」
夏場など汗をかいて水分と塩分を失ってしまうと熱中症になりやすくなってしまいます。
そこで開発されたのが熱中症対策飲料です。
昔から熱中症対策としてポカリスエットやアクエリアスが販売されていました。
しかし、気温の上昇に従って、より効率的に水分と塩分を吸収できる飲み物が必要になってきました。
そして、より本格的なOS1など熱中症対策飲料の売り上げが伸びるようになってきました 。
しかし、普通の熱中症対策飲料は効果が高い代わりに塩味が強く美味しくなかったのです。
このことに気が付いたサントリーは熱中症対策もでき、美味しい飲料を発明しようと研究を進めていたのです。
特許6807477 より引用
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の通り、ナトリウムを含有する飲料では、ナトリウムに起因する塩味が生じることが問題となる。これについて本発明者らは、ナトリウム含有飲料の研究開発を通じて、特に飲料中のナトリウム濃度が35mg/100ml以上となった場合に、ナトリウム由来の塩味が顕著に感じられることを見出した。そこで、本発明は、ナトリウムを35mg/100ml以上含む飲料において、ナトリウムに由来する塩味を改善することを目的とする。

従来の熱中症飲料は、塩分を吸収させる為にナトリウムを高濃度としていたため塩味が強く美味しくなかったのです。
塩分を補給するために、塩分の高い飲み物が必要になりますから、塩味の強い飲み物になってしまうのは仕方がないことです。
トレードオフの関係です。
ですから、同業他社は多少の塩味による味の悪化は仕方がないことだと、あきらめていたのです。
そんな中、サントリーは塩分であるナトリウムと一緒に特別な「鉄分」を一緒にすることを考え付いたのです。
特許の記載によると、飲料中に多く含まれるナトリウムが、味覚神経を有する舌に鉄イオンを接触させやすくして、ナトリウム由来の塩味を感じにくくする役割を果たすそうです。
サントリーも明確な作用がわかっていないようです。
しかし、偶然だったにせよ、画期的な発明を行ったのです。
「この発明は世の中を席巻する可能性があります。」
毎年夏になると「熱中症」が騒がれます。
近年は地球温暖化により夏の平均気温が上昇しています。
昔と同じ飲料を飲み続けても十分ではなくなるかもしれません。
より飲みやすく、吸収しやすい飲み物が求められるでしょう。
このような需要がある環境で塩分も水分も効率的に吸収出来て美味しい飲料があったらどうなるでしょうか。
今後も需要が確実に伸びるならば、売り上げが伸びるのも確実です。
嬉しいことだけではありませんが、平均気温が上がれば上がるほどサントリーの売り上げが伸びていくのは間違いないでしょう。
◆サントリーは「ナトリウムと鉄とたんぱく質を含んだ飲料」を発明した。
◆発明された製造方法によってユーザーは、「美味しく塩分と水分を飲むことができ、熱中症を防ぐことができます。」
◆この発明は「グリーンダカラ」として販売されています。
![]() | サントリー GREEN DA・KA・RA (グリーンダカラ) 600ML×24個セット 価格:2,540円 |

◆従来の製品は 塩味が強く美味しくなかった。
◆ 毎年夏になると「熱中症」が騒がれます。より飲みやすく、吸収しやすい飲み物が求められるでしょう。
このような需要がある環境で塩分も水分も効率的に吸収出来る本発明品は間違いなく売り上げを伸ばしていくでしょう。